2018年5月28日 美味しいお米作り ⑤粗代編
粗代(あらしろ・荒代とも書きます)編です。
農業の世界も日進月歩の世界だと思っています。
今はこの粗代とりの作業もかなり変化していますが、かなりの設備投資がかかるためにうちは昔ながらです(笑)
皆さん田んぼにお米の収穫が終わって次の苗が植わるまでに田んぼではどのような作業が行われているかご存知ですか?
基本的には粗おこし、畦草切り(あぜくさきり)、畦塗(あぜぬり)、代とり(しろとり)でしょうか。
この粗代とりは代とりの中の作業の一つです。
まずは収穫終了後に一度田んぼにトラクターをかけます。
これが粗おこしです。
前作で固まった土を一度粗く砕いてあげて土の中に空気を入れてあげます。
次は畦草切り。
畦とは各農家の田んぼを隔てる土地の囲いみたいなもので、泥の土を盛って作っています。
それによって自分のところの田んぼに水をせき止めて溜めるようになっています。
場所によってはこの畦がコンクリートでできているところもあります。
畦草切りとはこの畦に生えた雑草を刈払機(かりはらいき・通称ビーバー)を使って切っていきます。
お米が植わっているシーズン中も何度かは切るのですが、稲刈りが11月ごろに終わって、次のシーズンに入るまでの約半年間は基本的に畦草は放置なのでひざ丈くらいまでは伸びています。
夏程成長は早くありませんが放置期間が長いのでそのくらいにはなってます。
自分、この粗代とり前の草切りが一番嫌いであります。
冬の間に鈍った体を一気にたたき起こすような感じです。
冬の間は基本的にビーバーで草刈りをするようなシーンはそうそうありません。
それがある日、1日中ビーバーを背負い作業します。
中にはビーバーで作業をしたことがある人も、見たことがある人もいらっしゃると思います。
見ているだけだとものすごく簡単そうに見えてしまいますが、いざ実際にやってみると背負ってる肩の紐は食い込んでくるは、ディスク(ビーバーの刃)の回転によって押し戻そうとするのを押さえておくのに腕の筋力がかなりいるは、握力はすごくいるは、音はうるさいは、腰が痛いはで結構しんどいのです(笑)
今は充電式のビーバーがあったり、軽い一文字のビーバーがあるのですが、やっぱり背負い式のビーバーの方が馬力が強くて燃料の入る容量が大きいので長時間、広範囲をするのは背負い式が一番です。
自分が親父の後を継いで農業を始めたとき衝撃を受けたことの一つでした。
見ているだけだと簡単そうで、機械で切るのだから楽なもんだと思っていましたがとんでもなかったです(笑)
うちの場合、この畦草切りに朝から晩までやって1週間ほど要します。
それがなまった体に一気に直撃です(笑)
何年たってもその夜は筋肉痛と騒音の影響でボーっとしてしまいます。
3日目あたりからからだも慣れて楽にはなってきますが・・・。
一度慣れてしまえば後はそこまできつくはありませんが、夏のシーズン中は今度は暑さとの戦いになります。
さて、この畦草切りが終わったら次は畦塗の作業です。
畦草を切って、1週間ほど放置して焼きます。
そこに雨が降って土が水をしっかりと含んでいる状態で畦塗機を使って塗っていきます。
まず基本手になぜ畦塗をするのかと言いますと、畦は田んぼに水を溜めておく重要なものです。
その畦はモグラによって穴が掘られたり、人が歩いて崩れたり、風化によってボロボロになったりしています。
それを修復するために塗り直すのです。
昔はみんな一本一本の畦をクワを使って手作業で塗っていました。
途方もない労力を要します。
今では畦塗機と言うトラクターの後ろに取り付ける機械があるので楽ではありますが、その分高い買い物になります(汗)
ちなみにですが・・・うちはまだ購入できていませんので近所の農家仲間さんからのレンタルです(汗)
早く欲しい・・・
畦塗が終わってようやく代とりです。
ここまでは画像がありません。
なぜならこの作業中はまだこのHPの制作予定がなかったからであります。
ここからは簡単な画像付きで!!
一言で代とりとまとめていますが代とりには2種類あります。
まずはこの粗代とりです。
画像1枚目
昨シーズンの稲刈りが終わって、一度トラクターをかける粗おこしが終わって数か月がたっています。
いい感じに草が生えています。
画像2枚目
そこに水路から水を引き入れます。
粗代は水を入れた状態でトラクターをかけます。
画像3枚目
トラクターをかけ終わった後です。
粗代は粗おこしで砕いた土をさらに小さく砕くのと草をある程度沈めます。
草は水分を吸っているのである程度細かく砕けてしまします。
この粗代とりですが田植えをする上でのちょっとしたポイントになります。
この粗代とりで植えるための深さと、田んぼの均平が決まってしまうからです。
粗おこしも均平をとる上でのポイントにはなりますがまだ幾分かの修正はできます。
この粗代とりで失敗すると取り返しがつきません。
この時点で田んぼの均平が出ていないと田植え機で田植えをするときに凸凹の地面の上を走ることになるので、苗が一定間隔で同じ深さに綺麗に植わってくれません。
そうすると成長に差がでたり、植え込みが浅くなって苗が倒れ込んだりします。
なので今どきの主流は浅く・粗くなのでトラクターの進む速度も速いですがうちは丁寧にゆっくりと進みます。
これを変えようと思うと新しい機械の購入が必要なので変えれません。
画像3枚目と4枚目
粗代とりが終わった後の全体の様子と拡大した画像です。
粗代とりは画像1枚目の田んぼがこんな感じに仕上がります。
拡大画像ではまだ細かく砕かれた草が表面に浮いていますがこれでOKです。
これで粗代編はおしまいです。